世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「今日朝ご飯食べるの遅れちゃってさー。それにどうやっていいか教わってないから、やらなくていいかなって思って」
 あまりな言い分に近くで聞いていた太刀川も、目を丸くして、思わず口を出す。
「ゆいちゃん、それはないと思うよ。仕事に関してメモしてる? 福島さんからマニュアル頂いたと思うんだけど、それある? 全部そこに載ってるわよ。ほら、壁にも貼ってあるよ。分からなかったらそれを見たらいいのよ」
「あとここでの菓子パンはちょっと……野菜や果物を取り扱っているので、衛生面的にまずいかなと思いますよ」
「え、ここで飲食だめですなんて書いてないじゃん。そんなの聞いてないんだけどぉ。小娘の癖に私に指図する気?!」
 腕を組んでにらみつける結花。
「はいはい小娘のお話聞いてくださいねー、お母さん。にんじんの袋詰め一緒にやりましょー」
 ペースに呑まれまいと春日は結花に作業するように促す。心臓が跳ね上がりそうな緊張感がある。
(りん)ちゃん、私と交代する?」
「いいえ、大丈夫でーす!」
 段ボールを運んで欲しいことを伝えると、私に力作業させるつもりなのとまたしても喚く。
「ゆいちゃん、ほら一緒にもって!」
 太刀川がにんじんの入った段ボールを抱えるとむ結花は全く力を入れず抱える。
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