世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「ちからないのーじゃなくて、入れる気ないでしょー。おばちゃん分かってるわよ」
 見破られたかと言わんばかりにしぶしぶ抱えて、作業台の上に載せた。
「じゃぁここからは、できるよね? ほら、頑張って」
 尻を叩かれた結花は春日に教わりながら、作業していく。
 教わってる時もなんでこんな女に言われないといけないんだとブツクサ文句言っていた。
「依田さん聞こえてますよー。言われたくないなら、真面目にしてくださいねー」
 袋を機械で梱包していた春日が嗜める。
 八つ当たりするかのように春日に「あんたの喋り方ムカつく。年下のくせに」と段ボールに入ってたにんじんを数本投げつけた。床に落ちた。
「い、いてーっ……?! なに?!」
 顔面に当たったので地味に痛い。
 段ボールからにんじんを取り出して、上下に投げる結花。その顔は口角が上がってて、楽しんでいるかのようだった。
「私に指図するとこうなるの。呉松家のお嬢様であり、依田社長の妻である私に、下民風情があれこれ言うなんて、頭おかしいんじゃない?!」
 結花は春日に近づいて手に持ったにんじんで、彼女の額に叩きつける。
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