世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「大事な話の時に自分の名前で言うとかおかしくないですか? めちゃくちゃいらつくんですけど」
 相川が追い打ちかけるように結花をたしなめる。
「えー、かっちゃんひどーい。ゆいちゃんは悪くないもん!!
 口先をとがらせて悪くないアピールする結花。
 だって生意気言ってくるから立場を教えただけよ。
 ゆいちゃんは悪くない。そう悪くないの。
 悪いのはあの2人。
 だって世界一可愛いゆいちゃんは何したってゆるされるんだから。なかったことに出来るんだから。
「だから俺のことを勝手にあだ名で呼ぶな! 馴れ馴れしいんだよ! このおばさん!」
 強い口調で否定された結花は「なんでよ?! みんなそう呼んでるじゃん。差別だ! おばさんじゃなくてゆいちゃんでしょ!」と騒ぐ。
「だからそのゆいちゃんもやめてくれませんか?!  自分のこと名前で言うやつなんか地雷女っていうけど、ほんとそうだな。この人が見事に表している。そのぶりっこ口調も、声も耳障りなんだよ! まして年下から指示されるのが嫌だからって、うちの商品投げつけるとかさ、あたおかすぎて草生えるわ」
 泣き笑いをする相川に結花は「ひ、ひどいよ」と泣き真似をする。
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