世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「なんせ、依田結花《《お嬢様》》のお気に入りがブチ切れただからね。しかも鈴ちゃんが親しげに話してるのが気に入らないってな」
 男女グループの1人が声を顰めておばちゃん達に話しかける。ここで結花のことをお嬢様と言う時は、殆ど彼女のことを皮肉の意味を込めている。
「かっちゃんだろ? 彼、女性苦手なんだよな。お嬢様みたいなタイプが一番の天敵って言ってた。鈴ちゃんとおばちゃん達は平気みたいだけど」
「お嬢様がかっちゃんと店長いない時に、にんじんぶん投げたんでしょ? かっちゃんと一緒に仕事できないからって」
「だいたい、自分が原因じゃん。かっちゃんが嫌がるのも無理ないよ。自己紹介やばかったじゃん。自分のことゆいちゃんって呼んでねって。あの人いくつなんだ?」
「……さぁ、20代? 後半じゃないか?」
 西洋人形みたいで可愛いと思った。最初は彼女の見た目で盛り上がったが、今は一部除いて厳しい目が向けられている。こんな時期なのに露出激しいショートパンツやミニスカにトップレスでブーツだ。髪もふわふわさせて、明らかにここで仕事するのに向いていない格好だ。一応着替てるが、嫌そうなのがダダ漏れだ。
「30いってるか?」
「40前らしいよ。中学生の娘いるって。ぶっちゃけ痛いよな」
< 314 / 928 >

この作品をシェア

pagetop