世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 陽鞠は「水お代わりする」と立ち上がって、流し台にある水を継ぎ足した。
「ひ、ひまり! そんな冷たい言い方はなくない? お母さんがせっかく作ったんだからさ……戻っておいで」
 悠真が機嫌を損ねないように陽鞠に席に戻るよう促す。
 しぶしぶ戻ってきた陽鞠は「どうせ自分でじゃなくて、職場の気弱そうな女性スタッフ脅して、作らせたんでしょ?」と煽る。
「そんなわけないの! ゆいちゃんが自分でやったんだから!」
 結花はムキになって言い返す。顔が赤くなっていく。
 ちゃんとネットで調べてやったのにと返す。
「じゃぁ、何のサイト使ったの? どこで買ってきた? 作り方は覚えてる?」
 矢継ぎ早に質問され、結花はスマホアプリで覚えたことや、食材は職場で買ったことを話す。
「へぇー、あんなに嫌がってたとこで買ってたんだー。何のギャグかな? 味はまあまあね。あと一歩ってとこかな」
 してやったりと陽鞠の口角が上がる。
「陽鞠、やめなさい。お母さんが一生懸命作ったんだよ。信じなよ」
「え、お父さん何言ってるの? これ今までお母さんが私たちに《《言ってきたこと》》だよ?」
 結花は、味がしょっぱいだ、料理が地味でSNS映えしないとか、まあまあの出来ねと2人が作った料理に対して上から目線でコメントしていた。
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