世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 リビングの時計の秒針の音だけする。
 だんだん悠真の眉間にしわが寄ってくる。
「これ、ログインして」
 勝手に大丈夫だろうと思っていた矢先、悠真からパパ活用のアプリのログインを言われる。
「い、嫌よ! もういいでしょ! 返して!」
 結花は無理矢理悠真から取り上げようとするが、力で勝てない。悠真の口角がわずかに上がった。
「これか。いいから教えてくれ」
「いや。ゆいちゃんのプライバシー覗くの?」
 待って、今返してもらってから、やりとりを消そう。
 ログインして手早くタップしながら、やりとりの履歴を消していく。
「はい、どうぞ」
 どうぞ見るといい。証拠なんてないよーだ!
 ぜーんぶ消したからねっ! さぁ、せいぜい頑張って探してねっ。
両手を合わせてじっと見る結花の口から含み笑いが出る。   
 悠真は結花が使ってるアプリやその使い方をネットで調べる。
「はぁーっ、こんなの陽鞠が知ったらどう思うんだ? ますます嫌われるぞ? どう説明するつもり?」
 悠真は結花とパパとのやり取りをみせる。
 その瞬間、結花はあっけにとられて言葉が出ない。
 なんで? なんで? 復元されてない⁈
 今日もその前も、始めた頃も……!!

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