世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「問答無用だ。ここから出ていてもらう。野垂れ死のうが知ったこっちゃない。《《パパ》》とやらに頼めばいいんじゃないか? ほれ、荷物もって出てけ」
 悠真は結花を離れの方に連れて行き、荷物類をまとめてから、追い出した。
 玄関から結花の「世界一かわいいゆいちゃんを暑い中追い出すなんてDVよ!」と叫ぶ声が響くが、誰も反応しなかった。
 パジャマ姿ですっぴんの結花は恥ずかしさのあまり泣き出す。
 どうして? こんな目に遭うの? 全部私が悪いの?
 ねぇ? ここまでしなくてよくない?!
 私は世界一かわいいゆいちゃんなんだよ? こんなひどいことする人が世の中にいるんだって。
 身一つになってしまった結花はこれからどうしようか、玄関の前でスマホとにらめっこする。
「――なにやってるの?」
 しばらくすると塾帰りの陽鞠が声をかけてきた。
「ひ、ひーちゃん! お父さんに追い出されたの! ね、お母さん戻りたいから、お父さん説得して!」
 路上で上目使いしてから、土下座をする結花。
「へー、世界一可愛いゆいちゃんが頭下げたぁー、どっしよかなぁー」
 陽鞠は土下座する結花を撮影してから「誰がパパ活やった女を母親と認めるんだよ。お父さんに追い出されるの残当でしょ?」と言い放って、玄関に入った。
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