世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 結花を振り向かせようとあの手この手で、アプローチしての結果だ。
 結花としては結婚してやったと思っている。
 悠真の実家がローカルスーパーの経営者なのに対し、天下の呉松家とは天と地の格差がある。
 そのため結婚する時にかなりもめた。
 特に周子が終始悠真の実家を見下す言動をしていた。
 結婚を認める条件として挙げたのが

 結花を専業主婦にさせること。
 全て結花の言うことを聞くこと。
 呉松家を贔屓すること。
 結花が依田家の実家と同居するのはNG。
 依田家との付き合いを結花にさせないこと。

 これらを考えたのは結花と周子だ。
 一方的に結花に有利な形だった。
 しかもこれをきちんとした誓約書のような形で署名させた。
 惚れた弱みなのか、悠真は終始結花の言うことを聞いている。
「あの人、今日も仕事忙しいから帰り遅いってさ」
 唇をとがらせて呟く結花。
 ここ半年ぐらい悠真の帰りが遅い。きつく問いただしても、仕事が立て込んでいると返すだけだった。
 悠真が経営しているローカルスーパーは、朝の7時から閉店は夜の10時と遅くまで営業している。悠真の両親と協力して、人がいない店舗にヘルプで行く。それが日常茶飯事だ。
「それ、浮気してんじゃないの?」
 縁起でもないことを言う周子。
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