世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 やっぱり野球してたってこともあって、鍛えられてるのね。
 
 結花は上目使いで光河に視線を向ける。
「ねぇ? ゆいちゃんのこと見逃してよ? というか秘密にしてって約束したじゃない?」
 甘ったるい声でなかったことにするようせがむ。
 その声にうんざりしたのか、光河は舌打ちした。
「ちょっとー、ひっどーい! 舌打ちなんて! あおちゃん、さっきの見たでしょ? この子ひどいわー」
 葵依も結花の話を無視して「あんたがやったんでしょ? 正直に言って! そしたら離してあげる」と鬼の形相で責める。
「ち、違うわよ! お父さんじゃないの? ほら、お金ないっていうし!」
 天を仰いで私は悪くないとアピールし続ける。
 
 でも、あの子達から取ったのって月数千円ぐらいだし、たかがお小遣いなんてしれてるし。
「はぁ? じゃぁ、なんであんなにブランドもんあるんだよ?! お金ないって騒いでるのに!」
「あああ、あれは、昔っからも、も、持ってるやつなの! あんた達には関係ないでしょ! 光河くん、かっこいいから見逃して!」
 じたばたと暴れる結花に子供達2人は呆れと軽蔑でうんざりそうに顔をしかめる。

 学年で嫌われてる女子みたいで嫌になる。
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