世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 自慢の容姿でその彼氏に私を振り向いてもらえるようにスキンシップや甘えたりしていた。それで別れたカップルが何組かいる。
 でも飽きたらその彼氏も捨てる。
 邪魔をしている時が一番楽しいから。
 魅力ないあんたが悪いと。
 泣いている彼女を見るのが楽しかった。優越感に浸れて。
 私は女子から評判悪いけど、男子から人気があった。
 同性は邪魔だ。私より可愛い人がちやほやされるのがなんとしてでも許されないんだから。
 あれは確か中学校二年の時に、自分のキャリアを見つける的な、興味ある職業を探すみたいな授業で将来の夢の作文を書いたと思う。
 そして二十二歳の時に宣言通り結婚した。
 作文通り同級生を呼ぶことは出来なかった。いや、来なかったに近い。
 女子で来たのは親友の磯崎望海だけ。
 あとは母が呼んだ”サクラ”達だ。
 同性の友達がいなさすぎるのは性格に難あり、地雷率が高いと言われているのを、母のおかげでごまかすことができた。
 残りは私や母が無理やり呼んだ人たち。
 夢を叶えてもう十六年経つ。
 私は三十八なった。中学生の娘がいる。
 夫は優しいし言うことを何でも聞いてくれる。
 私に対して言い返そうものなら、強く出て黙らせる。
 でも物足りない。
 夫はローカルスーパーの経営や現場仕事で忙しい。
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