世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 宝飾品も特に真珠のネックレスが好きで、様々な大きさや種類のものが保管されており、いつも着物に合わせて着用していた。

『まぁ、ばか妹の考えのことだから、1つぐらいなくたって怪しまれないだろうという考えかな』
「怪しまれないって……」
 悠真は大きなため息をついて、もうだめだこいつと呟く。
『あいつは昔っから汗水垂らして働いている人を馬鹿にしてた。働きたくないがために、悪行隠して嘘ついてまで、悠真くんと結婚したようなもんだからね。それでも君は、あいつとひーちゃんのために頑張ってきたわけでさ』
 改めて突きつけられる事実。
 悠真はやり場のない怒りを良輔に向けたかった。
「本当に働きたくないというか、楽したがり、なんですね。身内のものを勝手に売ってまで、自分の(ふところ)に入れたがるわけなんですから。本気で何か自分で最後まで努力したり、やり遂げたことがないんでしょうね」
『そう。あいつの目指すお姫様ライフは、家族や周りの人が犠牲になったり、泣き寝入りすること。それが当たり前だと思っている。シンデレラですら、もう少し気を配ってるぞ?』
 良輔の冗談に思わず悠真は笑いをこらえる。
 
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