世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 シンデレラは不遇な生活をしていて、コツコツと地道にやってる姿をお天道様が見ていたから、王子様と幸せになったんだと思う。
 自分の昔の立場を分かっているからこそ、周りの人に偉そうに威張ったり、いびったりしない。

「あの人の場合逆シンデレラ、ですかね?」
『いや、うーん、シンデレラのその後で、調子に乗っちゃって、自滅ルートかな? 今流行の悪役令嬢のポジション』
「悪役令嬢、ですか?」
 いまひとつピンと来ないが、良輔曰く若い子の間で流行ってるネット小説のジャンルの1つで、立場の弱い人をいびって、最後はだいたい痛い目に遭うと教えてくれた。
 悠真は言われて見ればそうだなとすぐにイメージできた。
「悪役令嬢がおばちゃんみたいな感じですね」 

 実家は裕福だし、色々隠しまくって、お手伝いさんとか娘とか身内いびってたし、同級生いじめてた前科あるし……家族には嫌われて追放ルートみたいな感じか、ネット小説にありそうな話の実写バージョンかな?
 
『マジそれな! 本当は今すぐにでも呉松家”追放”させてやりたいんだけど……』
 悠真は追放という言葉に吹き出しそうになる。
「そうは、いかない、でしょうね……下手にやると今度はお義兄さんが悪者になってしまいそうですね」  
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