世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「とにかく、田先先生のとこのお金は返さないといけないわ。お母さんが用意しようか?」
「え、ほんと?!」
 結花の声が高くなり、良輔に向かって舌をだして威嚇する。
「だって、身内に犯罪者なんて出たらいやじゃない? それこそ、大翔くんやひーちゃんの結婚や進学で名前が傷つくわよ? ひーちゃんに至っては、犯罪者の娘って汚名がつくよ? それでもいいの?」
「そうよ! 大翔くんが彼女出来たときどーすんの?! ゆいちゃんが警察のお世話になるなんて、可哀想と思わないの?」
 味方を得られたのか強気でいる結花の口調は、良輔を煽るものだった。
 
 挑発的な目、見下した口調。
 さてこの姿勢、いつまで続くのやら。
 確かに身内で犯罪者でましたなんて嫌に決まってる。
 正直微妙な所だろうなというのが自分の考えだ。
 ライブチケットの転売は今回が初めて。常習性が低いという意味で、起訴されないとか罪に問われない可能性だってあり得る。
 いい年して、色々な意味での素行不良な妹に、いい加減社会的に制裁された方がいいと思っている自分がいる。
 悪運強いと言えばいいのか、しぶといと言えばいいのか。
 因果応報を受けてる立場なのに、まだまだ効いていないだけだろうか。
< 612 / 928 >

この作品をシェア

pagetop