世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「部活以外でも、同じクラスの部員にノート破られたり、悪口書かれた手紙が息子に渡されたり……何度も学校と話し合いになったけど、結局表向きは解決したけど、根っこが変わらなかったわ」
 柿本さんは私の嫌味に怯むことなく懐かしむように話す。
「そうね。いじめられるなんて自業自得じゃない? だって女子ばっかの部活に男子が入ってきてさ、その上目立つポジションの楽器なんてやられたら、そりゃムカつくよ」
 私は柿本さんとこの息子さんより、嫌がらせした女子の気持ちの方がわかる。
 あんな地味な奴が目立つ楽器なんて、実力あっても調子乗ってるって〆てやりたいもの。
「加害者の子も結花お嬢様と同じようなことを仰ってました。お嬢様は嫌なことから全て逃げてきたし、加害者と同じようなことしてきましたからね。全てご両親に責任押し付けてね。あなたには私たちの事が到底理解も気持ちも分からないでしょうね」
 私の顔をしっかり見るかのよう。じっと見るように。
 私はすぐ目線をそらす。
 お説教がうざい。話聞くんじゃなかった。
 あの人私に偉そうに言うけど、何様かしら?
 あーっ、昔の話引き合いにされて腹立つ!
 もう終わったことじゃない! 何で?
 いっっつも嫌味ったらしいわ! お手伝いの癖に!
< 62 / 928 >

この作品をシェア

pagetop