世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「12月14日の1時」
「私の前じゃん。あー行きたくないなぁー」
「ほんそれ! 何いわれるんだろー」
 2人は保護者面談のことを考えるなり顔を曇らせた。
「私、まみりん苦手なんだよねぇー。みんなの前ではそうじゃないけど、2人になったら急にあたりがきつくなるんだよね……試験ずるしたとか言い出してさー……」
「嘘でしょ?! そんなひどいこと言うの?! ひーちゃんがそんなのする訳ないじゃん。吹部の練習も勉強も頑張ってるんだし」
 紗来は目を丸くして返す。
 陽鞠は学年でも上位者に入っている。今の所最高記録は五位だ。
 別にずるをしているわけではない。授業態度はいたって真面目だ。
 授業中と塾の最中に授業の内容を頭に叩き込もうと必死になっている。
 赤澤は今年の4月に異動してきたばかりだ。
 陽鞠は初っ端に「お母さんに見た目そっくりね」と言われた。
 それ以来、赤澤は陽鞠に対して二人だけになるときつくあたってくる。ひどい時は「男子使ってカンニングしたんでしょ」と言われる。
 自分でやったのに何を根拠にそう言われるか分からなかった。
 ただ、赤澤と母が面識あるのではないかと陽鞠は思っている。
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