世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「あー、ほんと見苦しいな。それが事実なんだ。大人しく受け入れろ」
 良輔が思わず耳を塞ぐ。
「だ、だって、ゆいちゃん、家どうすればいいの?!」
「知らん。”実の父親”のとこにでも行けば? 普久原俊樹(ふくはらとしき)のとこに。ま、あそこも孫と妻がいるからな。得意なぶりっ子で媚び売ったら? 俺たちには関係ない。明日までに出てけ。ホームレスになろうが、孤独死しようが知ったこっちゃねぇ。お前とは他人だからな。しずねえも望海ちゃんも、こいつ助ける義理ないから、お金たかられたり、何か言ってきたら、警察突き出していいから。されたことは俺に話して。以上」

 良輔と明博が立ち上がって、じゃぁ解散と音頭とって終了となった。

 家から出るように言われた結花は、まだ声を上げて泣いているが、周りは突き刺すような視線を向けながら退室していく。

 望海も一瞬結花に視線を向けたが、静華が「こんな人無視していいよ」と言って、辞去した。
  
 良輔の宣言通り、結花は次の日、問答無用で呉松家から身一つで追い出された。
 車で新鋭地という街の山奥まで連れて行かれ、下ろされた。
「最後の情けだ」
 結花は車を追いかけたが、すぐに出発し、一人途方に暮れて歩き回った。 

 追い打ちをかけるかのように、結花の因果応報がまだ続く。
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