世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「服部さん、その発言はアウトです。今ここで彼女が死なれたら、色々な意味で困りますよ。ほら、怯えてる人いるじゃないですか」

 丸山が指差したのは、チャレンジ枠の1人の女性の落合だ。
 彼女は知的障害があり、人付き合いに難ありなタイプだが、仕事熱心できちんと完遂してくれる。
 結花が来てから、丸山や服部と言い争いしているのを見て、3人の顔を見るだけで怯えている。
 落合は度々「呉松さんと服部さんが怖い」と丸山に訴えてた。
 結花が異動してしばらくしてから、怒鳴り合ってる姿みた影響なのか、仕事のパフォーマンスが落ちてる。
 書類の入れ間違いや、うっかり忘れなどが頻発するようになった。
 口数も減り、返事の声も小さくなってきた。
「はぁ? そんなのでいちいち怯えてたら生きていけないよ? そもそも誰かさんのせいでこうなったんだから」
 服部はすすり泣きしている結花に、広角を上げて眉根を上げながら視線むけた。
「あんたも泣いてないでさっさと仕事やって。このノロマ! 泣き顔見苦しいんだよ! でた! 悲劇のヒロイン面か? まじ見苦しいんだよ。鏡見たら? めっちゃうっぜー。世界可愛いじゃなくて自称でしょ?」
 自称という言葉に他の同僚も「それな」と続ける。

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