世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 違うもん。みーんなゆいちゃんのこと可愛いって言ってくれる。
 いつまでもお姫様扱いされるって。
 どこいっても可愛がられるから、何もしなくていいって。人はつかうもの。

 アラフォーになってから、今までの口調やノリで話すと、軽蔑やからかいの目、腫れ物扱いされるようになった。
 あれこれやってと言っても自分でやれと、やってくれなくなった。
 泣いてその場を切り抜けようとしたら、うんざりしたような顔で、ほっとかれて、誰も慰めてくれない。
 ムスッとしても、だーれも察してご機嫌取りしてくれない。
 働くなんて慣れてないし、そもそもゆいちゃんの人生設計には全くなかったのに!
 全部周りが肩代わりしてくれると思ってたのに!

「服部さん、先程の発言、社長に報告しますので。落合さんは少し席外して、クールダウンしてください。呉松さんは、これから私とお話しましょう」 
「私は事実を言ったまでです! この人も散々人を悪く言ってきたんだから、これぐらい言われるのは当然でしょう?」
 丸山は服部の言い分を無視して、落合と結花を連れ出した。
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