世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 高校に入ったら父のためにも家のためにもアルバイトをしたいと思っている。
 世間知らずで、ちやほやされたり、人になにかやってもらって当たり前、その上わがままな母を反面教師にすると決めている。

 ――見た目だけ人間にはなりたくない。

「ひーちゃんはお母さんのこと嫌いなんだね。聞いてたら、私もちょっとそういう親は三者面談に来てほしくないかな……」
 陽鞠は否定しなかった。
 小学校時代のあの参観日まで、母の言動と行動に対し、素直に聞いていたことを否定したくなる。
 もう消し去りたいぐらい。
 あの母の血がつながっているのかと思うと、いつか自分も、ああなってしまうのじゃないかと考えるだけで、身が小さくなってしまう。
 
 ――蛙の子は蛙。

 私はこの言葉が大嫌いだ。
 まるで私が将来母のようになるに決まってると言われているみたいだから。
 母が卒業した学校に通ってから――特に二年生になって、担任が赤澤になってから、母のことを引き合いにして、嫌味を言われるようになった。
 おそらく母は春の台中学校に通っている時、色々やらかしたのだと思う。そうでないと、マイナスなことを言ってこないから。
 実の娘である私ですら、あの母は嫌だ。
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