世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!

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 結花は社長室を見渡した。
 壁は白を基調として、北側の窓はカーテンが閉められている。
 壁の周りは書類が入ったクリアファイルを保管する棚とシュレッダー。
 スチールの事務用の長い机と、バランスボールが3つ横に並べられていた。
 真ん中の席に結花の荷物が置かれている。

「今日から呉松さんは、ここで働いて貰います」
 丸岡に言われ「えっ、なんで?」と間髪入れずに聞き返した。
「呉松さんが足腰悪いということなので、経験者の私が一緒にいたら、やりやすいかと思いまして。で、女性と2人っきりはまずいので、丸岡さんと一緒にやってもらいます。彼女はチャレンジ枠の兼務になります」
 丸岡は「よろしくお願いします」と頭を軽く下げて、ではこちらにお座りくださいと真ん中の席に着席を促した。
 勢いよく座ると机の上に頬杖つきながら「なんの仕事するの?」と尋ねた。
「事務作業に、電話応対に、書類の整理整頓に、掃除に、来客や社長へのお茶出しですかね、その他諸々……」
「僕は足悪いから長時間立つのが少ししんどいんだ。だから、棚にあるものとか取ってもらえる人間がいると助かる」
「嫌なんだけど? そんなの自分でできないなら、社長やめたら? 前の所にいきたいんだけど?」

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