世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
 デザートはストロベリーのシャーベット。
「まぁまぁな味ね」
 鯛のポワレが出た時に一口つけた時の結花の感想だ。
 二人は家のことや子供の話をする。
 望海には小学校5年の双子の娘と息子がいる。
 娘の千陽は母の望海に似てのんびりした性格だが、息子の朝陽は少しやんちゃで、学校の校庭や公園で遊んでは怪我をしてくる。でもふたりとも成績はそこそこ上だ。
 両親に似てなんだかんだ努力家だから。
 結花はそれがなんとなく気に入らない。
 将来自分の娘が望海のとこの子どもたちに逆転されたらなんて考えるだけで恐ろしくなる。
 
 ――私を楽にさせるために玉の輿に乗ってもらわないと。

 陽鞠と千陽と朝陽はそこそこ仲がいい。でも結花は朝陽と陽鞠が仲良くされるのが嫌で仕方ない。
 自分より格下の家の子に大事な娘が穢れると思っているからだ。
 口うるさくは言わないものの、内心腹が立っている。
 娘には同性だけで仲良くしてた方がいい。
「ふーん、相変わらず陰キャ趣味なんだね。親に似て。将来モテなさそう」
 千陽と朝陽は読書が好きで親子で図書館に通っている。
 千陽は偉人の伝記、朝陽はドラゴンが出てくるファンタジーものに夢中だ。
 加藤家は家族全員本が好きなので本の置き場所に悩んでいる。
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