世界一可愛い私、夫と娘に逃げられちゃった!
「ねぇ、私はともかく家族を見下すようなことを言うのやめてっていつも言ってるじゃん」
 望海はデザートを食べているスプーンを一旦置いて、強く詰める。
「事実じゃん。言われたくなかったら、モテるようにしたら? 化粧とかさ整形したら?」
「あのね? そういうのなんていうか知ってる? 余計なお世話っていうのよ? 見た目ばっかで中身何もないってつまらないじゃん。若いうちはいいよ? でもそのうちそれが通用しなくなるのよ。ゆいちゃんは働いたことがないからわからないけど、私は夫の優しさや誠実さが好きなの。子どもたちもそう。たとえゆいちゃんがけなしても、私にとっては大事な家族なの」
「ほー、で、その家族に何の価値あるの?」
 突き放すような口調の結花。
「――これだけ言っておくわ。ゆいちゃん、可愛いだけで通用すると思ってるのは大間違いよ。世間はかなりシビアだから。そんなに自信あるなら、今からでも芸能オーディション受けたら? ネット動画にあげてみたら? 痛い人ってすぐに有名になるから。SNSの過去の投稿も掘り起こされてどうなるかしらね?」
「うるさいわね! このブスが!」
 結花はすぐにSNSに望海の悪口を載せようと、スマホのロック画面を開いた――通知画面が悠真の名前で埋まっている。
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