僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている

ひとりの昼休み、本当はすごくつらかった。

孤独で、皆の笑い声がナイフみたいにグサグサ胸に刺さって、吐きそうだったけど、気づかないフリをしてた。

だけど天宮くんはそんな人知れず苦しんでいる私にまた気づいてくれて、すぐに手を差し伸べてくれた。

そして、不器用で傷つきやすい、ダメな私ごと認めてくれた。

ファインダー越しに私の心の奥底まで見抜いてしまう、不思議なカメラマン。

まだ高校生だけど、私にとっては、本棚に並んでいるよく分からない写真家なんかより、ずっと偉大なカメラマン。

「あ、ええと……」

多くを喋ったら涙がこぼれてしまいそうで、なかなか言葉が出ない。

「そんなふうに思ったことなかった……」

ようやく言えたのは、そんな気の利かないセリフだけ。

気づいてくれてありがとう。

そばにいてくれてありがとう。

あふれんばかりの思いが込み上げているのに、うまく声にすることができない。