僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
「うーん、よう分からへんけど、たぶん大した理由やないと思う」

首を捻る二階堂部長。

「天宮の家、過保護やから、ちょっと休みたい言うたら休ませてくれるんちゃう? 前にお母さんが、何かの用事で学校まで迎えに来てるの見たことあるし。高校生にもなってお母さんの送迎って、よほど過保護やないとないよな」

そう言って、二階堂部長はいつもの調子で笑っていた。

天宮くんに、勝手に親近感を覚える。

私の親も、何かと私に手をかけようとする、やや過保護気味の親だ。

過去に私が不登校になってしまったのが原因なのは分かっているけど、窮屈さに穿きそうになることがある。

天宮くんも、同じような気持ちを味わっているのかもしれない。

写真部にはほぼ毎回通い、天宮くんがいるときはポートレイトの練習台になったり、何をするでもなく過ごしたり、二階堂部長の話に付き合ったりしている。

昼休みにもお弁当を食べに行っているので、写真部に入り浸る時間がかなり長くなった。

そして夏休みに入る直前、私は二階堂部長に促されるような形で、正式に写真部に入部した。

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