僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
しん、と私たちの間に沈黙が落ちる。

花火を見ながら、変なふうに天宮くんを意識してしまったせいか、何を話せばいいのか分からない。

「合宿、どうだった?」

沈黙に耐えかねたのか、天宮くんが聞いてくる。

「うん、楽しかった。参加してよかった」

慣れない空気に緊張して、まるで小学生の感想文のようなセリフを口走ってしまう。

だけど天宮くんの口元がうれしそうにほころぶのが見えたから、ようやくリラックスすることができた。

「来年は、高安くんも来れるかな」

高安くんからは、合宿に参加するかどうかの返信はなかった。

もともと期待していなかったし、強要しようという気持ちはさらさらない。

それでも少なくとも、私は参加してよかったって思うから。

高安くんも、もしかしたら前を向くきっかけにはなるんじゃないだろうか。

「その前に、来年は写真部の存続が危ういけどな」
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