僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
バッグから色辞典を取り出し、パラパラとめくる。
〝かめのぞき〟という色が近そうだ。
「なに、その本?」
「色辞典。買ったの」
「え、僕のために?」
「うん」
うなずくと、天宮くんがみるみる目を見開く。
それからほんのり顔を赤くして、端から見ても分かるようなうれしそうな顔をした。
なんだか恥ずかしくなって、私はうつむいてしまう。
「色を教えるって、天宮くんと約束したから……。でも色のことなんて今まで深く考えたことなくて、勉強しなくちゃと思ったの」
とはいうものの、やっぱり色ってどう説明すればいいんだろう?
生まれつき持っている概念だから、どういう色かなんて意識したことがなくて難しい。
そもそも天宮くんの中に色という認識はないのだから。
青に近い色とか赤と黒を混ぜたような色というような説明はできない。
〝かめのぞき〟という色が近そうだ。
「なに、その本?」
「色辞典。買ったの」
「え、僕のために?」
「うん」
うなずくと、天宮くんがみるみる目を見開く。
それからほんのり顔を赤くして、端から見ても分かるようなうれしそうな顔をした。
なんだか恥ずかしくなって、私はうつむいてしまう。
「色を教えるって、天宮くんと約束したから……。でも色のことなんて今まで深く考えたことなくて、勉強しなくちゃと思ったの」
とはいうものの、やっぱり色ってどう説明すればいいんだろう?
生まれつき持っている概念だから、どういう色かなんて意識したことがなくて難しい。
そもそも天宮くんの中に色という認識はないのだから。
青に近い色とか赤と黒を混ぜたような色というような説明はできない。