僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
思いがけないセリフに、上ずった声が出た。うん、と天宮くんがうなずく。
「医者の話によると、僕のかかってるこの病気は、ある一定の条件が揃うと色が見える現象を起こすらしい。〝彩色現象〟っていうらしくて、ほんの少しの間だけど、色を見たことはある」
天宮くんがまったく色を見たことがないわけではないと知って、ちょっとホッとした。
「どんなときに色が見えたの?」
「神経伝達物質が活性化したときだって、医者は言ってた」
「しんけいでんたつぶっしつ……?」
「うん、ドーパミンとかセロトニンとか」
急に話が難しくなってしまい、私は閉口した。生物は教科の中でもっとも苦手だ。
閉口する私に合わせるように、天宮くんもなぜかうつむき黙っている。
気のせいだろうか。私から顔を背け、海を見ている彼の耳の当たりが少し赤かった。
「医者の話によると、僕のかかってるこの病気は、ある一定の条件が揃うと色が見える現象を起こすらしい。〝彩色現象〟っていうらしくて、ほんの少しの間だけど、色を見たことはある」
天宮くんがまったく色を見たことがないわけではないと知って、ちょっとホッとした。
「どんなときに色が見えたの?」
「神経伝達物質が活性化したときだって、医者は言ってた」
「しんけいでんたつぶっしつ……?」
「うん、ドーパミンとかセロトニンとか」
急に話が難しくなってしまい、私は閉口した。生物は教科の中でもっとも苦手だ。
閉口する私に合わせるように、天宮くんもなぜかうつむき黙っている。
気のせいだろうか。私から顔を背け、海を見ている彼の耳の当たりが少し赤かった。