僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
翌日、私は天宮くんと繁華街のある駅で待ち合わせ、一緒に百貨店に向かった。
こんなところまで来るのは、本当に久しぶり。しかも、家族以外の人と来たのは初めてだ。
最上階へと向かうエスカレーターで、前に立つ天宮くんを後ろから見上げる。
夏に何度か私服姿を見たはずなのに、黒のパーカーにベージュのズボンという私服姿は、やっぱり見慣れなくて少しドキドキしてしまう。
「今日は体調はいいの? 最近よく学校休んでるけど」
背中越しに聞くと、わずかに首を捻って天宮くんが私を見た。だけどすぐに、よくそうするように逸らされる。
「立て続けに風邪ひいたんだけど、もう治ったんだ」
それきり天宮くんは、何も言わなくなってしまった。
こんなところまで来るのは、本当に久しぶり。しかも、家族以外の人と来たのは初めてだ。
最上階へと向かうエスカレーターで、前に立つ天宮くんを後ろから見上げる。
夏に何度か私服姿を見たはずなのに、黒のパーカーにベージュのズボンという私服姿は、やっぱり見慣れなくて少しドキドキしてしまう。
「今日は体調はいいの? 最近よく学校休んでるけど」
背中越しに聞くと、わずかに首を捻って天宮くんが私を見た。だけどすぐに、よくそうするように逸らされる。
「立て続けに風邪ひいたんだけど、もう治ったんだ」
それきり天宮くんは、何も言わなくなってしまった。