僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
天宮くんは、やっぱり結局のところ、撮った私の写真を消去していたらしい。

データに余裕を持たせたかったのだろう。練習用なのだから仕方がない

彼が撮った私の写真は、永久にお蔵入りになってしまった。

見てみたい気もしたけど、もうどうしようもない。

「彩葉ちゃん。ちょっといい?」

天宮くんの家から帰るとき、私だけが天宮くんのお母さんに呼ばれた。

「私ら、先に出とくな」

二階堂部長が気を遣ってくれて、佐方副部長と高安くんともにドアから出て行った。

玄関には、私と天宮くんのお母さんだけが取り残される。

「騙すような形になってしまってごめんなさい。陽大はね、余命のこと、彩葉ちゃんに一番知られたくないって言ってたの。あなたの悲しむ顔が見たくなかったんだと思う」

私は、うなずくだけで精いっぱいだった。

正直、今も気持ちの整理がついていない。
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