僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
翌日から、私は何ごともなかったかのように登校した。

染谷さんとはまた同じクラスだった。そのうえ、すぐに前の席の女子と打ち解けた。

川峯さんっていう、えくぼのかわいい小動物系の女の子だ。

天宮くんが亡くなったことは、生徒には伝わっておらず、転校したという扱いになっていた。

それについては以前天宮くんのお母さんに聞いていたので不思議には思わなかった。

悲劇的な扱いを受けたくないと、天宮くんが望んだことらしい。

写真部の部室に行くと、皆があたたかく迎えてくれた。

二階堂部長に、佐方副部長、それに髙安くんもいる。

高安くんは、四月から保健室登校を始めたらしい。

クラスには行かずに保健室で課題をこなす、不登校の子のためのシステムのようだ。

部活にだけはきっちり顔を出しているとのこと。

顔ぶれは変わったけど、いつもどおりのまったりとした部活の時間が過ぎていく。

部室の大半を占める長机に、乱雑に写真の貼られた黒板、分厚い写真集の並んだ棚。
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