僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
エピローグ
桜の花びらが水色の空を舞う春がきて、青い海が太陽光にきらめく夏がくる。

色づいた木葉が寒さを語る秋がきて、冷えた空気に白い吐息が溶けていく冬がくる。

天宮くんを失った悲しみは、めくるめく季節に上書きされ、形を変えていった。

それでも熾火(おきび)のように、静かに熱く胸の奥で燃えていたけど、私は気づかないフリをした。

そうでないと、悲しすぎるからだ。

高校を卒業した私は、大学に進学した。 
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