僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
知らなかった。
つまり、霞病患者は恋をすると色彩を認識するらしい。
だからあのとき、天宮くんは少し恥ずかしそうだったのだ。
天宮くんは恋をしたことがあったようだ。
十七年という短い人生のいつの話なのかは分からないけど、奇跡を起こすくらい、印象的な恋だったのだろう。
もしかしたら亡くなる前日、病院を抜け出したのは、その人に会いに行ったからかもしれない。
始まることもなく遠い昔に終わってしまった恋なのに、嫉妬のような気持ちが込み上げる。
天宮くんの恋がもたらした色は、どんな色だったんだろう?
だけどもう、知ることもない。
天宮陽大という人間は、この世からとっくにいなくなってしまったのだから。
つまり、霞病患者は恋をすると色彩を認識するらしい。
だからあのとき、天宮くんは少し恥ずかしそうだったのだ。
天宮くんは恋をしたことがあったようだ。
十七年という短い人生のいつの話なのかは分からないけど、奇跡を起こすくらい、印象的な恋だったのだろう。
もしかしたら亡くなる前日、病院を抜け出したのは、その人に会いに行ったからかもしれない。
始まることもなく遠い昔に終わってしまった恋なのに、嫉妬のような気持ちが込み上げる。
天宮くんの恋がもたらした色は、どんな色だったんだろう?
だけどもう、知ることもない。
天宮陽大という人間は、この世からとっくにいなくなってしまったのだから。