僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
あの灰色の世界をさまよっている目。
別室登校を始めるようになったのは、これ以上、親に迷惑をかけたらいけないと考えたから。
この学校に居場所はない。
キラキラとした同級生たちの輝きがうらやましくて怖くて、自分がみじめで。
私には、手に取るように彼の気持ちが分かった。
「写真部に入ってみない?」
そう彼に提案したのは、居場所を学校に作ってあげたかったからだった。
「……写真部なんか、ありました?」
「今は廃部になってるけど、非公認で始めてみるの」
「……大丈夫なんですかそれ?」
「大丈夫よ。部室はあるんだから」
「はあ……」
腑に落ちないような顔の近藤くん。
「でも僕、カメラとか別に好きじゃないですし……」
「大丈夫、そういう子もいたから」
そうして私は、ある日の放課後、近藤くんを写真部の部室に連れて行った。