僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
近藤くんは私が怒っていないのを見て、ホッとしているようだった。

近藤くんの言うように、彼の前に、ROBERT FRANKの写真集の箱が置かれている。

ずっと昔からこの部室にあった本だ。

「この中にそれが入ってたの?」

「……はい。本当の中身は、箱から出されて横に置いてあったんです」

誰が、なんの目的でそんなことをしたのだろう?

首を捻りながら、近藤くんからアルバムを受け取る。

開いた一ページ目。

思いもしなかった写真が目に飛び込んできて、心臓がドクンと大きく跳ねた。

「これって……」
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