僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
全力を込めたこの作品を、著名な写真家の作品と同じように本棚に並べたかったから。

またいつ暗転症状が起こるか分からないのに、どうしても並べたかったから。

「ううっ……」

アルバムをもとに戻した近藤くんが、腕で目元をぬぐっている。

近藤君までもが泣いていた。

「近藤くん……」

「もらい泣きしちゃって……」

言いながら、近藤くんはもらい泣きとはいえないレベルでわんわん泣いている。

心配になり、私の涙はすっかり引っ込んでしまった。

グスッと洟をすすり上げている近藤くん。

「先生があんまり幸せそうに泣くから……」

「幸せそうに?」

「……はい。悲しい涙とは違うと思いました」

幸せな涙。

なんて、素敵な響きなのだろう。

そうか、感受性の強い彼には、そんなふうに見えるのか。

そしてそれは当たってる。

こんなにも天宮くんに想われていた私は、幸せ者だ。

私は涙に濡れた顔で微笑んだ。
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