僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
――カシャッ!

懐かしい、あのシャッターの音がした。

振り返ると、部室の窓辺で、あの頃のままの天宮くんが愛用のカメラを構えている。

癖がかった黒髪の、わりと整った顔立ち。

紺色のネクタイに、白のシャツ、紺色チェックのズボン。

ファインダーから顔を上げた彼が、茶色い目で私を見た。

真剣なカメラマンのまなざしだ。

私はそんな彼に向かって、笑顔を見せる。

泣くのは、今度こそもう終わり。

私が笑えば、彼はいつも夢中になって、立て続けにシャッターを押していたから。

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