僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
一ページ目。

土手だろうか。

桜の花が、まるで空に絨毯を敷き詰めたみたいに、写真の中一面に咲き誇っていた。

その真ん中に、パーカーにロングスカートを穿いた女の子が立っている。

年は、十七歳の僕と同じくらいだろうか。

肩までのセミロングの髪が、桜の花びらが舞う中で弾むように揺らいでいた。

思わず目を奪われたのは、その写真の加工が独特だったからだ。

春爛漫の、薄桃色であろう花びらも、水色であろう空も、なぜか灰色に加工されている。

真ん中に立つその女の子だけが、目が焼けるほど鮮やかな色彩を、写真の中の世界に放っていた。

つややかな黒髪に、赤みを帯びた頬、恥じらっているような桃色の唇。

光の存在しない世界で、その子だけにこの世のすべての光が集まっているみたいだ。

周りが無色のせいか、色彩の美しさが鮮烈に胸に刺さって、心を震わせた。
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