僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
何かあったんじゃないかと不安になったけど、確かめる方法なんてあるはずもなくて。

そのうち学校が忙しくなって、アカウントこそ消しはしなかったものの、私もSNSの存在は忘れかけていた。

でもそもそも、SNS上での関係なんてそんなもの。

使い捨ての友人関係だから希薄で、だからこそいい部分もある。

そうやって割り切って、私は〝くろすけ〟との突然の別れを無理やり自分自身に納得させた。

改めて、プロフィール画像に使っている日暈の写真を眺める。

真っ白な太陽を取り囲む、大きな虹色の輪。

その下に移り込んだ、緑のボールネットに、生い茂る公園の木々、公園の中ほどに建つある特徴的な銅像。

一生に一度見れるか見れないかの瞬間を撮れて、本当に幸運だったと思う。

夢中で空にスマホを向けたあの日のことを思い出しているうちに、天宮くんのシャッターが耳によみがえった。

カメラを構えたときだけ切り替わる、あの真剣な目つき。

――カシャッ!

天宮くんのカメラの中には、どんな私がいるんだろう。

彼の目に映る私は、どんな顔をしているんだろう。

少しだけ、ほんの少しだけ。

窓の外に見える星空が、いつもより輝いて見えた気がした。
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