僕は花の色を知らないけれど、君の色は知っている
ぐんじょう
高校の入学式の翌日、アスファルトの地面に落ちた、ぐちゃぐちゃの桜を見た。
昨日までは満開で、人々を笑顔にしていたのに、昨夜の雨でぜんぶ散ってしまったらしい。
人々に踏み荒らされ泥にまみれている桜は、地面を汚す残骸でしかなかった。
人は桜の美しさには目を向けても、傷つきやすさには目を向けない。
美しさも傷つきやすさも含めて、桜というひとつの花なのに。
ぐちゃぐちゃの桜の光景は、なぜか私の脳裏に焼きついて、ずっと残っていた。