息霊ーイキリョウー/長編ホラーミステリー
約束された情景/その3


「あれは確か、”夏休み”中だったわね。律っちゃん、克也に連れられて神社に遊びに行ってね…。友達とポコペンやるからって。アレ、流行ってたものね。この辺ではね、うふふ…」

律子は、テーブルに出された麦茶の入ったコップに手を触れながら、達子の話をじっと聞いている。

”うん、そうだった。あの当時、神社で近所の男の子を中心に、7~8人が飲集まって、かくれんぼと缶けりに似た遊びが定番だった。その日、昼ごはんを済ませてたあと、克也君と一緒に神社に行ったんだった”

律子はこの時点で、かなり鮮明にあの日のことを思い出していた。

...


「律っちゃんがいた頃、昼出たら夕方まで帰ってこなくてね、夢中で遊んでたわよねー(笑)。それであの日は、律っちゃんが最後の鬼になった五時ころ、鬼の律っちゃん、いなくなっちゃったって…」

”ここだ!ここの記憶が今まで途絶えていた…。それで、あのバイクを受け取った翌日、突然、問題の5時の場面が脳裏に戻ってきたんだよ。いきなり私の脳裏に…。だけど…、あの場にいた、他のみんなが見たのは、どんな場面だったのか…”

律子は、”今、やっとわかる…。はっきりする”

そう確信し、達子の次の言葉を待った。




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