※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
8.参考にさせていただきます(1)
昔々、とある国の王都に、アリシャという女の子が住んでいました。
アリシャは貴族の娘ではありますが、正妻の子ではなかったため、二人の姉たちから酷く苛められていました。本当のお母さんは流行り病のため、アリシャが幼い時に死んでしまったのです。
お父さんは仕事が忙しく、殆ど家に居ません。このため、アリシャを助けてくれる人は、お屋敷に一人もいませんでした。
「一体、いつになったら出ていくのかしら?」
「妾の子の癖に厚かましい」
「メス狐が……どうやってお父様に取り入ったのかしら」
継母や姉達は、口々にアリシャを罵ります。けれど、アリシャはなにを言われても、どんな嫌がらせを受けても、一向に意に介しませんでした。
「すみません。母の方がお義母様よりも数段美しかったものですから」
アリシャの言葉に継母たちの目が点になります。怒りで顔が真っ赤に染まりました。
(妾の子であることは事実だし、厚かましいのも全部事実)
アリシャとしては、事実をただ述べているだけのつもりですが、彼女のことを傷つけたい継母や姉たちは、当然面白くありません。嫌がらせは年々酷くなっていきました。
父親がアリシャに贈ったドレスを破ったり、食事を与えなかったり、屋敷から締めだしたことも一度や二度じゃありません。けれど、アリシャは何とも思いませんでした。
(別に破れていても着られないわけじゃないし)
姉たちからビリビリにされたドレスを着て街を歩いてみたり、屋敷の外に立派なねぐらを建ててみたりとやりたい放題です。屋敷に与えられた部屋よりも立派な部屋が出来たと、誇らしげにする始末でした。
さて、アリシャ本人がノーダメージな代わりに、姉たちが大きな痛手を負いました。
『子爵家はドレスを買い直すお金すらないらしい』
人々が口々にそんな噂をします。プライドが高い継母や姉たちはカンカンになりました。噂の火消しをするため、高価なドレスをたくさん買って、三人で街を練り歩きます。けれど、さしたる美しさもない彼女達を見るものは誰もいませんでした。
「完全な無駄金ですね」
アリシャの一言に、ついに姉たちの堪忍袋の緒が切れました。
アリシャは貴族の娘ではありますが、正妻の子ではなかったため、二人の姉たちから酷く苛められていました。本当のお母さんは流行り病のため、アリシャが幼い時に死んでしまったのです。
お父さんは仕事が忙しく、殆ど家に居ません。このため、アリシャを助けてくれる人は、お屋敷に一人もいませんでした。
「一体、いつになったら出ていくのかしら?」
「妾の子の癖に厚かましい」
「メス狐が……どうやってお父様に取り入ったのかしら」
継母や姉達は、口々にアリシャを罵ります。けれど、アリシャはなにを言われても、どんな嫌がらせを受けても、一向に意に介しませんでした。
「すみません。母の方がお義母様よりも数段美しかったものですから」
アリシャの言葉に継母たちの目が点になります。怒りで顔が真っ赤に染まりました。
(妾の子であることは事実だし、厚かましいのも全部事実)
アリシャとしては、事実をただ述べているだけのつもりですが、彼女のことを傷つけたい継母や姉たちは、当然面白くありません。嫌がらせは年々酷くなっていきました。
父親がアリシャに贈ったドレスを破ったり、食事を与えなかったり、屋敷から締めだしたことも一度や二度じゃありません。けれど、アリシャは何とも思いませんでした。
(別に破れていても着られないわけじゃないし)
姉たちからビリビリにされたドレスを着て街を歩いてみたり、屋敷の外に立派なねぐらを建ててみたりとやりたい放題です。屋敷に与えられた部屋よりも立派な部屋が出来たと、誇らしげにする始末でした。
さて、アリシャ本人がノーダメージな代わりに、姉たちが大きな痛手を負いました。
『子爵家はドレスを買い直すお金すらないらしい』
人々が口々にそんな噂をします。プライドが高い継母や姉たちはカンカンになりました。噂の火消しをするため、高価なドレスをたくさん買って、三人で街を練り歩きます。けれど、さしたる美しさもない彼女達を見るものは誰もいませんでした。
「完全な無駄金ですね」
アリシャの一言に、ついに姉たちの堪忍袋の緒が切れました。