※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
「アンナ」
エヴァレットは微笑み、アンナを迎え入れる。会場が静かな熱気に包まれた。
式はその後も恙無く進んでいく。きっとあの男はこの会場のどこかにいて、アンナを見ながら歯噛みしているのだろう。そう思うと、アンナの背筋はピンと伸びた。
「では、指輪の交換を」
神父の言葉に、アンナとエヴァレットは静かに向かい合う。ゆっくりと、優雅な所作で手を差し出すと、エヴァレットはアンナにだけ分かるぐらいの小さな声で笑った。
「ようやく、この日を迎えることが出来た」
エヴァレットの言葉に、アンナの胸が小さく軋む。
エヴァレットから結婚を切り出されたとき、アンナは彼の愛を疑いもしなかった。当然、王太子という立場上、結婚相手のことで一番に重要視するのは家柄や教養、妃としての器だ。
けれどそれでも、アンナは自分が愛されていると思っていた。それが勘違いだったのだと思うと、涙が溢れそうになる。
「これを君に」
そう言ってエヴァレットは、アンナの薬指に指輪を嵌める。
「……え?」
見ればアンナの指輪は、彼に求婚されたあの日に見た、磨かれる前の宝石の原石で形作られていた。
エヴァレットは微笑み、アンナを迎え入れる。会場が静かな熱気に包まれた。
式はその後も恙無く進んでいく。きっとあの男はこの会場のどこかにいて、アンナを見ながら歯噛みしているのだろう。そう思うと、アンナの背筋はピンと伸びた。
「では、指輪の交換を」
神父の言葉に、アンナとエヴァレットは静かに向かい合う。ゆっくりと、優雅な所作で手を差し出すと、エヴァレットはアンナにだけ分かるぐらいの小さな声で笑った。
「ようやく、この日を迎えることが出来た」
エヴァレットの言葉に、アンナの胸が小さく軋む。
エヴァレットから結婚を切り出されたとき、アンナは彼の愛を疑いもしなかった。当然、王太子という立場上、結婚相手のことで一番に重要視するのは家柄や教養、妃としての器だ。
けれどそれでも、アンナは自分が愛されていると思っていた。それが勘違いだったのだと思うと、涙が溢れそうになる。
「これを君に」
そう言ってエヴァレットは、アンナの薬指に指輪を嵌める。
「……え?」
見ればアンナの指輪は、彼に求婚されたあの日に見た、磨かれる前の宝石の原石で形作られていた。