※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
「嘘、だろ……? ジュノーが死んでいるなんて。だって、俺はずっと彼女が見えていた。触れられていた。それなのに、どうして……」
「想いが強すぎたんだと思います」
そう口にしたのはシンシアだった。ウィリアムと身を寄せ合い、気の毒気に眉を下げたシンシアに、バッカスは開いた口が塞がらない。ワナワナと身体を震わせながら、シンシアへと詰め寄った。
「おまえ……! 気づいていたのか? 気づいていて俺をそのままにしていたのか⁉」
「止めろよ」
ウィリアムがシンシアとバッカスの間に割って入る。咎めるような表情。バッカスは眉間に皺を寄せた。
「俺とシンシアは何度も忠告しようとしただろう? それを『皆まで言うな』と遮ったのはおまえの方だ。シンシアはずっと、おまえに憑いた霊や生霊の邪気を浄化してくれていたのに」
シンシアとウィリアムは二人とも、霊が見える体質だった。逆に、バッカスには全く霊感がないものの、妙に憑かれやすい体質で。霊が持ち込む邪気を、シンシアはいつも浄化してきた。
「そんなこと、ちっとも知らなかった! じゃぁ何か⁉ 最近俺の体調が悪かったのは、シンシアと会っていなかったからだっていうのか⁉」
「恐らくは……」
そう言ってシンシアはバッカスに向かって手を伸ばす。すると、割れるような頭の痛みが少しだけマシになっていく。バッカスは腹立たしさに歯噛みしながら、シンシアのことを睨みつけた。
「あいつを祓え」
「え?」
「あの女……ジュノーを祓えよ」
見ればジュノーは、ゼウス侯爵の背に覆いかぶさるようにして笑っている。狂気的な笑い声が部屋の中に木霊していた。
「想いが強すぎたんだと思います」
そう口にしたのはシンシアだった。ウィリアムと身を寄せ合い、気の毒気に眉を下げたシンシアに、バッカスは開いた口が塞がらない。ワナワナと身体を震わせながら、シンシアへと詰め寄った。
「おまえ……! 気づいていたのか? 気づいていて俺をそのままにしていたのか⁉」
「止めろよ」
ウィリアムがシンシアとバッカスの間に割って入る。咎めるような表情。バッカスは眉間に皺を寄せた。
「俺とシンシアは何度も忠告しようとしただろう? それを『皆まで言うな』と遮ったのはおまえの方だ。シンシアはずっと、おまえに憑いた霊や生霊の邪気を浄化してくれていたのに」
シンシアとウィリアムは二人とも、霊が見える体質だった。逆に、バッカスには全く霊感がないものの、妙に憑かれやすい体質で。霊が持ち込む邪気を、シンシアはいつも浄化してきた。
「そんなこと、ちっとも知らなかった! じゃぁ何か⁉ 最近俺の体調が悪かったのは、シンシアと会っていなかったからだっていうのか⁉」
「恐らくは……」
そう言ってシンシアはバッカスに向かって手を伸ばす。すると、割れるような頭の痛みが少しだけマシになっていく。バッカスは腹立たしさに歯噛みしながら、シンシアのことを睨みつけた。
「あいつを祓え」
「え?」
「あの女……ジュノーを祓えよ」
見ればジュノーは、ゼウス侯爵の背に覆いかぶさるようにして笑っている。狂気的な笑い声が部屋の中に木霊していた。