※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
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「とんだ身の程知らずが居たものだわ」
背後から響く金切声に、徐に振り向く。
アイザック殿下の正式な婚約者となったわたしにこんな言葉を浴びせられるのは、最早学園に一人しか存在しない。異母姉であるイザベラだ。
(義姉さまのことは本当に気の毒だと思う)
幸せな家庭を、母のせいで壊されてしまった。しかも、彼女はわたしの2歳年上だから、幸せだった頃を知りもしないのだ。
父は愛情深い人だから、きっと伯爵夫人や異母姉にもわたしに対するのと同じように愛情を注いでいるだろう。だけど、本来なら、母やわたしに向けられた愛情だって彼女達のものだった。そう思っているからこそ、異母姉はわたしのことを忌み嫌うのだ。
(その上わたしがアイザック殿下の婚約者になってしまったのだもの)
彼女はきっと、わたしのことを殺したいほど憎んでいるに違いない。
(だからこそ、彼女にしかできないことが沢山ある)
わたしは大袈裟にため息を吐きつつ、蔑むような笑みを浮かべた。
「異母姉さまこそ、いい加減身の程をお知りになったらいかがです? わたしはもう、アイザック殿下の婚約者。あなたよりも格上になりましたのよ?」
「なっ……! あなた、自分がなにを言っているか分かってるの?」
異母姉は顔を真っ赤にして怒りつつ、わたしのことを睨みつける。
「とんだ身の程知らずが居たものだわ」
背後から響く金切声に、徐に振り向く。
アイザック殿下の正式な婚約者となったわたしにこんな言葉を浴びせられるのは、最早学園に一人しか存在しない。異母姉であるイザベラだ。
(義姉さまのことは本当に気の毒だと思う)
幸せな家庭を、母のせいで壊されてしまった。しかも、彼女はわたしの2歳年上だから、幸せだった頃を知りもしないのだ。
父は愛情深い人だから、きっと伯爵夫人や異母姉にもわたしに対するのと同じように愛情を注いでいるだろう。だけど、本来なら、母やわたしに向けられた愛情だって彼女達のものだった。そう思っているからこそ、異母姉はわたしのことを忌み嫌うのだ。
(その上わたしがアイザック殿下の婚約者になってしまったのだもの)
彼女はきっと、わたしのことを殺したいほど憎んでいるに違いない。
(だからこそ、彼女にしかできないことが沢山ある)
わたしは大袈裟にため息を吐きつつ、蔑むような笑みを浮かべた。
「異母姉さまこそ、いい加減身の程をお知りになったらいかがです? わたしはもう、アイザック殿下の婚約者。あなたよりも格上になりましたのよ?」
「なっ……! あなた、自分がなにを言っているか分かってるの?」
異母姉は顔を真っ赤にして怒りつつ、わたしのことを睨みつける。