※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
2.政略結婚のすゝめ(3)
◇◆◇十六歳◇◆◇
しかし、現実はそう甘くなかった。
待ちに待った再会。
折角頑張って政略結婚の理由を用意して、きちんと努力もしてきたのに、ソーちゃんの反応はあまりにも薄い。
『そっか』って……そっかってさぁ!
まあ、そんな塩対応もソーちゃんらしくて好きなんだけど。
その時だった。
「ソルリヴァイ様!」
愛らしい令嬢の声音に振り返る。
見れば、わたしが居るガゼボから少し離れた所に、ソーちゃんと数人の令嬢が居た。
公爵令息であり、まだ婚約者の居ないソーちゃんはモテモテで。中には、わたしとは別口の幼馴染なんかもいるみたいだから、戦々恐々としてしまう。
(嫌だな)
ソーちゃんが他の子と一緒に居る所を見たくない。
他の子がソーちゃんと結婚しちゃうなんて、考えたくもない。
これまでは二人きりで会うことが多かったから、こんな想いに駆られることはなかった。頑張ったらいつかは想いが届いて、ソーちゃんと結婚できるんじゃないかと思っていたのだけど。
「驚いた。君もまだアイツとの結婚を諦めてなかったんだ」
揶揄するような声音。
振り向けば、想像した通りの人がわたしのことを見つめていた。
「アルバート殿下。ご無沙汰しております」
「うん、久しぶりだね。ミラ」
ガゼボの向かいの席に腰掛け、殿下はゆっくりと目を細める。
「ところで『まだ』って……どうして殿下は、わたしがソーちゃんとの結婚を目指しているとご存じなんですか?」
「どうしてって……君がソルリヴァイに政略結婚の提案をしていた時、僕もその場に居たんだけどな」
「えぇ?」
そうだっけ? 正直、全く覚えていない。
だけど、よくよく考えたら、いくら幼くとも男女を二人きりにはしないかもしれない。
それにしても、アルバート殿下か……一体どのタイミングで居たんだろう?
頑張って記憶を辿ってみても、ちっとも思い出せそうになかった。
しかし、現実はそう甘くなかった。
待ちに待った再会。
折角頑張って政略結婚の理由を用意して、きちんと努力もしてきたのに、ソーちゃんの反応はあまりにも薄い。
『そっか』って……そっかってさぁ!
まあ、そんな塩対応もソーちゃんらしくて好きなんだけど。
その時だった。
「ソルリヴァイ様!」
愛らしい令嬢の声音に振り返る。
見れば、わたしが居るガゼボから少し離れた所に、ソーちゃんと数人の令嬢が居た。
公爵令息であり、まだ婚約者の居ないソーちゃんはモテモテで。中には、わたしとは別口の幼馴染なんかもいるみたいだから、戦々恐々としてしまう。
(嫌だな)
ソーちゃんが他の子と一緒に居る所を見たくない。
他の子がソーちゃんと結婚しちゃうなんて、考えたくもない。
これまでは二人きりで会うことが多かったから、こんな想いに駆られることはなかった。頑張ったらいつかは想いが届いて、ソーちゃんと結婚できるんじゃないかと思っていたのだけど。
「驚いた。君もまだアイツとの結婚を諦めてなかったんだ」
揶揄するような声音。
振り向けば、想像した通りの人がわたしのことを見つめていた。
「アルバート殿下。ご無沙汰しております」
「うん、久しぶりだね。ミラ」
ガゼボの向かいの席に腰掛け、殿下はゆっくりと目を細める。
「ところで『まだ』って……どうして殿下は、わたしがソーちゃんとの結婚を目指しているとご存じなんですか?」
「どうしてって……君がソルリヴァイに政略結婚の提案をしていた時、僕もその場に居たんだけどな」
「えぇ?」
そうだっけ? 正直、全く覚えていない。
だけど、よくよく考えたら、いくら幼くとも男女を二人きりにはしないかもしれない。
それにしても、アルバート殿下か……一体どのタイミングで居たんだろう?
頑張って記憶を辿ってみても、ちっとも思い出せそうになかった。