※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
「待って! 待ってください! キーテの隣にはわたくしが居なければダメなの! この子の手を握るのはわたくしじゃなければ――――」
「デルミーラ……良いから少し、下がりなさい」
「嫌ですわ、お父様! キーテ!」
背後でそんな応酬が繰り広げられる。けれどエルベアトはそれどころではなかった。
(これは……)
冷たくなったキーテの手のひらに、平べったい石が握らされている。触れただけで瘴気を感じる禍々しい石だ。彼にはこれがなんなのか、一目で分かった。
「――――――全部全部、貴方のせいだったのですね、デルミーラ嬢!」
エルベアトは立ち上がり、デルミーラの元へ迫り行く。
「あっ…………あぁっ………………」
彼のあまりの剣幕に、デルミーラは口をハクハクさせ、その場にぺたりと座り込んだ。何のことか分からない周りの人間は、困惑しつつもエルベアトの道を遮る。
「この石はマルアリア原石。粉末状にしたものを飲めば、吐き気や眩暈、発熱症状を引き起こす、所謂毒の一種です。直接触れればその症状を加速させ、酷いときには死に至らしめる。
デルミーラ嬢……キーテを苦しめていたのは他でもない、あなただ! こんなものを妹に使うなんて信じられない。神の試練!? ふざけないでください!」
「デルミーラ……良いから少し、下がりなさい」
「嫌ですわ、お父様! キーテ!」
背後でそんな応酬が繰り広げられる。けれどエルベアトはそれどころではなかった。
(これは……)
冷たくなったキーテの手のひらに、平べったい石が握らされている。触れただけで瘴気を感じる禍々しい石だ。彼にはこれがなんなのか、一目で分かった。
「――――――全部全部、貴方のせいだったのですね、デルミーラ嬢!」
エルベアトは立ち上がり、デルミーラの元へ迫り行く。
「あっ…………あぁっ………………」
彼のあまりの剣幕に、デルミーラは口をハクハクさせ、その場にぺたりと座り込んだ。何のことか分からない周りの人間は、困惑しつつもエルベアトの道を遮る。
「この石はマルアリア原石。粉末状にしたものを飲めば、吐き気や眩暈、発熱症状を引き起こす、所謂毒の一種です。直接触れればその症状を加速させ、酷いときには死に至らしめる。
デルミーラ嬢……キーテを苦しめていたのは他でもない、あなただ! こんなものを妹に使うなんて信じられない。神の試練!? ふざけないでください!」