※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
***
その翌日のこと。
寮から教室に着くなり、ソーちゃんはわたしを校庭へと連れ出した。
「昨日、殿下と何を話していたの?」
「あれ? ソーちゃん、気づいていたの?」
結構距離があったし。ソーちゃんは全然こっちを見ていなかったから、わたしたちが居ることを知らないと思っていたのに。
「当然だろう? それで、何を話してたの?」
ソーちゃんはそう言って、まじまじとわたしを見つめる。
「何って、挨拶とソーちゃ――――ううん、ソルリヴァイ様の話を」
「なにそれ?」
眉間にグッと皺を寄せ、ソーちゃんがわたしの肩に手を置く。
「何でいつもみたいに『ソーちゃん』って呼ばないの?」
「えっ……? それは、その……いつまでも『ソーちゃん』呼びじゃ子どもっぽいかなぁって。
あと、他の令嬢みたいに上品に振る舞った方が良いのかなぁとか、ソルリヴァイ様も実は嫌だったんじゃないかなぁと思って」
彼と出会ったのは八歳の頃。当時のわたしはどうしても『ソルリヴァイ』って名前がうまく発音できなくて。仕方なく『ソーちゃん』って呼び出したのが始まりだった。
そんな経緯に甘えて、いつまでも仇名で呼び続けていたわけだけど、昨日のソーちゃんの反応を見るに、本当は嫌だったのかもしれないなぁとか。わたしももっと、令嬢らしく振る舞った方が良いんだろうな、なんて思ったんだけど。
「ミラの馬鹿」
その瞬間、わたしは何故か、ソーちゃんにギュッて抱き締められていた。
その翌日のこと。
寮から教室に着くなり、ソーちゃんはわたしを校庭へと連れ出した。
「昨日、殿下と何を話していたの?」
「あれ? ソーちゃん、気づいていたの?」
結構距離があったし。ソーちゃんは全然こっちを見ていなかったから、わたしたちが居ることを知らないと思っていたのに。
「当然だろう? それで、何を話してたの?」
ソーちゃんはそう言って、まじまじとわたしを見つめる。
「何って、挨拶とソーちゃ――――ううん、ソルリヴァイ様の話を」
「なにそれ?」
眉間にグッと皺を寄せ、ソーちゃんがわたしの肩に手を置く。
「何でいつもみたいに『ソーちゃん』って呼ばないの?」
「えっ……? それは、その……いつまでも『ソーちゃん』呼びじゃ子どもっぽいかなぁって。
あと、他の令嬢みたいに上品に振る舞った方が良いのかなぁとか、ソルリヴァイ様も実は嫌だったんじゃないかなぁと思って」
彼と出会ったのは八歳の頃。当時のわたしはどうしても『ソルリヴァイ』って名前がうまく発音できなくて。仕方なく『ソーちゃん』って呼び出したのが始まりだった。
そんな経緯に甘えて、いつまでも仇名で呼び続けていたわけだけど、昨日のソーちゃんの反応を見るに、本当は嫌だったのかもしれないなぁとか。わたしももっと、令嬢らしく振る舞った方が良いんだろうな、なんて思ったんだけど。
「ミラの馬鹿」
その瞬間、わたしは何故か、ソーちゃんにギュッて抱き締められていた。