※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
そんなことが続いたある日のこと。その日は、いつもの時間になっても、ジュールが図書館に現れなかった。
(そうだよね)
別に、元々約束をしていた訳ではない。
ノエミはノエミの、ジュールはジュールの意思で、それぞれこの場所に赴き、偶々一緒に時を過ごしていただけなのだ。
だから、こんな風に唐突に会えなくなる日が来ると最初から分かっていた。ジュールが来るのを待つなんて――――寂しいと思うなんて馬鹿げている。
(それなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう)
司書が閉館を告げる声が聞こえる。いつもの席に腰掛けながら、ノエミは一人肩を震わせる。
「ノエミ!」
その時、静かな図書館に声が響く。顔を上げれば、ジュールが息を切らしてノエミのことを見つめていた。
「ジュール……」
「良かった……! 間に合った! 遅くなってごめん」
心底安心した表情でジュールは笑う。
(そうだよね)
別に、元々約束をしていた訳ではない。
ノエミはノエミの、ジュールはジュールの意思で、それぞれこの場所に赴き、偶々一緒に時を過ごしていただけなのだ。
だから、こんな風に唐突に会えなくなる日が来ると最初から分かっていた。ジュールが来るのを待つなんて――――寂しいと思うなんて馬鹿げている。
(それなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう)
司書が閉館を告げる声が聞こえる。いつもの席に腰掛けながら、ノエミは一人肩を震わせる。
「ノエミ!」
その時、静かな図書館に声が響く。顔を上げれば、ジュールが息を切らしてノエミのことを見つめていた。
「ジュール……」
「良かった……! 間に合った! 遅くなってごめん」
心底安心した表情でジュールは笑う。