※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
25.悪女は王子を騙したい〜あなたの破局、わたしが請け負います〜(3)
***
「此度のそなたの働きに、国王として心から感謝する」
それは、あの通り魔事件から数日後のこと。オルニアは真っ白なドレスに身を包み、謁見の間にいた。
所々に施された金と銀の刺繍。楚々とした印象を受ける。
(こういうの、柄じゃないんだけどなぁ)
あの後、オルニアは負傷者たちの治療に奮闘した。力を使うのは久しぶりのことだし、十数名に及ぶ重症者を相手にするのはさすがに初めてのこと。治療を終えると同時に気を失ってしまう。
それから今日に至るまで、オルニアはぐっすりと眠り続けていた。物凄い疲労感。ほんの少しの達成感が身体を包み込む。
けれど、目を覚ました瞬間、オルニアは自分の行動を酷く後悔した。瞳いっぱいに涙を浮かべたクリスチャンに抱き付かれたからだ。
「オルニア……! 良かった! 君が目覚めなかったらどうしようと不安で堪らなかった」
クリスチャンの腕の中は温かい。お日様みたいな香り。洒落っ気はないが、気取った香水の香りよりもずっと良い。
これまで仕事で、数々の男達の腕に抱かれてきた。けれど、こんな風に感じるのは初めてのこと。経験のない感覚に、オルニアはそっと俯く。
「此度のそなたの働きに、国王として心から感謝する」
それは、あの通り魔事件から数日後のこと。オルニアは真っ白なドレスに身を包み、謁見の間にいた。
所々に施された金と銀の刺繍。楚々とした印象を受ける。
(こういうの、柄じゃないんだけどなぁ)
あの後、オルニアは負傷者たちの治療に奮闘した。力を使うのは久しぶりのことだし、十数名に及ぶ重症者を相手にするのはさすがに初めてのこと。治療を終えると同時に気を失ってしまう。
それから今日に至るまで、オルニアはぐっすりと眠り続けていた。物凄い疲労感。ほんの少しの達成感が身体を包み込む。
けれど、目を覚ました瞬間、オルニアは自分の行動を酷く後悔した。瞳いっぱいに涙を浮かべたクリスチャンに抱き付かれたからだ。
「オルニア……! 良かった! 君が目覚めなかったらどうしようと不安で堪らなかった」
クリスチャンの腕の中は温かい。お日様みたいな香り。洒落っ気はないが、気取った香水の香りよりもずっと良い。
これまで仕事で、数々の男達の腕に抱かれてきた。けれど、こんな風に感じるのは初めてのこと。経験のない感覚に、オルニアはそっと俯く。