※追加更新終了【短編集】恋人になってくれませんか?
(本当に?)
わたしはアントワーヌ様を見つめつつ、唇をギュッと引き結ぶ。また自分に都合の良い夢を見ているのではなかろうか?そんな風に思っていると、アントワーヌ様はキリリと居住まいを直し、まじまじとわたしを見つめなおした。
「僕がシャルレーヌとの事情を話さなかったせいで、君に要らぬ誤解を与えた。シュザンヌがあんな風に罪悪感を抱く必要も、謝罪をする必要も無かったんだ。全部全部、僕のせいだ。本当にすまなかった」
そう言ってアントワーヌ様は大きく頭を下げた。わたしは驚きに目を見開きつつ、ゆっくりと首を横に振る。目尻に涙が溜まって、胸のあたりがじわりと温かくなった。
「――――アントワーヌがね『シュザンヌ様が話を聞いてくれない』ってあまりにも嘆くものだから、わたくしが一肌脱ぐことにしたの。まさかわたくしとの婚約が原因だなんて思わなかったから、ビックリしたわ」
シャルレーヌ様はそう言って困ったように微笑む。アントワーヌ様はバツの悪そうな表情を浮かべつつ、そっと頭を抱えた。
「シャルレーヌにも迷惑を掛けた。僕が不甲斐ないばかりに――――」
「本当にその通りよ? あなたは『社交なんて』って思うかもしれないけど、考えを伝えることってとても重要なんだから。ちゃんと身に着けないと、損ばかりの人生になってしまうわよ?」
そう言ってシャルレーヌ様はわたしの手を取り、優しく微笑む。
わたしはこれまで、シャルレーヌ様や他の令嬢を誤解していたのかもしれない。最初から合わないと決めつけて、真面に話を聞こうと思わなかった。自分とは異なる人種だと、思い込んでいただけなのかもしれない。
「それじゃあ、わたくしはこれで。
シュザンヌ様――――いつでもここに遊びに来てくださいね? わたくし、お待ちしていますから」
シャルレーヌ様はそう言い残し、わたしたち二人を置いてサロンを後にした。
わたしはアントワーヌ様を見つめつつ、唇をギュッと引き結ぶ。また自分に都合の良い夢を見ているのではなかろうか?そんな風に思っていると、アントワーヌ様はキリリと居住まいを直し、まじまじとわたしを見つめなおした。
「僕がシャルレーヌとの事情を話さなかったせいで、君に要らぬ誤解を与えた。シュザンヌがあんな風に罪悪感を抱く必要も、謝罪をする必要も無かったんだ。全部全部、僕のせいだ。本当にすまなかった」
そう言ってアントワーヌ様は大きく頭を下げた。わたしは驚きに目を見開きつつ、ゆっくりと首を横に振る。目尻に涙が溜まって、胸のあたりがじわりと温かくなった。
「――――アントワーヌがね『シュザンヌ様が話を聞いてくれない』ってあまりにも嘆くものだから、わたくしが一肌脱ぐことにしたの。まさかわたくしとの婚約が原因だなんて思わなかったから、ビックリしたわ」
シャルレーヌ様はそう言って困ったように微笑む。アントワーヌ様はバツの悪そうな表情を浮かべつつ、そっと頭を抱えた。
「シャルレーヌにも迷惑を掛けた。僕が不甲斐ないばかりに――――」
「本当にその通りよ? あなたは『社交なんて』って思うかもしれないけど、考えを伝えることってとても重要なんだから。ちゃんと身に着けないと、損ばかりの人生になってしまうわよ?」
そう言ってシャルレーヌ様はわたしの手を取り、優しく微笑む。
わたしはこれまで、シャルレーヌ様や他の令嬢を誤解していたのかもしれない。最初から合わないと決めつけて、真面に話を聞こうと思わなかった。自分とは異なる人種だと、思い込んでいただけなのかもしれない。
「それじゃあ、わたくしはこれで。
シュザンヌ様――――いつでもここに遊びに来てくださいね? わたくし、お待ちしていますから」
シャルレーヌ様はそう言い残し、わたしたち二人を置いてサロンを後にした。